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<ちあっぷのコラム>

店主が気まぐれに書いているタイについてのコラムです。
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Vol.12シャムの双生児」

 店主は、日本の知人数人から「タイには体がくっついた双子が多いっていうのは本当?」という質問を受けたことがあります。いわゆる「シャムの双生児」と呼ばれるもので、シャムというのはタイ国の旧称「サヤーム」の日本語読みです。ちなみに質問の答えは「タイでは一度も見たことがない」というのが本当のところです。恐らく「シャムの双生児」という名前や、ベトちゃん&ドクちゃんのようにベトナム戦争の枯葉剤の被害によって生まれた双生児などが混同し、タイやベトナム周辺にはそういう双子が多い、という誤解を招いているのでしょう。
 では、この「シャムの双生児」の由来ですが、タイ語では「エン・チャンの双生児」と言い、エンとチャンとは、1811年にタイで産まれた胸部がくっついた双子の男の子の名前です。この2人のことを指して「シャムの双生児」と言うのです。幼い頃から人目を忍んで生活していた2人は、ある時イギリス商人の目に止まり、見世物にされるために買われ連れられてしまいます。2人は最初の内は舞台に突っ立っているだけでしたが、次第に歌や踊りを披露するようになると、ヨーロッパやアメリカを公演して廻るほど人気者になります。アメリカで大スターになった2人は、それぞれアディーとサリーという美しい姉妹と結婚し、なんとエンは11人、チャンは10人の子宝に恵まれ、63歳で2人同時にその生涯を閉じたのでした。
 この有名な双生児の名前は、タイ人なら誰でも知っています。双生児=エン・チャンという固有名詞になっているのですから。このコラムを読んだ人の中には、障害者が見世物になるなんて!と嫌悪感を示す方もおられるかもしれません。タイ人は、このエン・チャンの双生児をはじめ、自分の障害を活かして笑いを取れるほど楽天的な性格をしています。タイのTVのゴールデンタイムでは、体が極端に小さかったり、顔の骨格に奇形があったりするような人たちがドタバタ喜劇に出演し、しかもみな大変な人気者です。中には美しい大女優と結婚したお笑いの大スターもいます。こういった外見的な障害を持つ人たちは、タイでは日陰の存在ではありません。自分の特異なルックスを活かしてスターになれるかもしれない、という夢を抱きながら普通に生きています。

 店主は最初そんな番組を見た時には、なんとも時代錯誤としか言いようのない光景に複雑な心境でしたが、文化的な現代人を装って人権だ何だと騒ぐよりは、障害を笑いに代えて陽気に生きている役者さんたちのお笑いに、くったくなく笑っている方がよっぽどクラーい偏見がないのでは、と思うようになったのでした。エンとチャンも、ステージの上に棒立ちになって笑いものになったまま生涯を終えたのではありません。自分たちの障害を類まれな長所と考えるようになったから、歌や踊りに励んで大スターになれたのです。
 世の中に存在するものは一つとして同じものがないはずなのに、みんな一緒だ、みんな平等だ、と型にはめようとするから、日本の子供たちは人と違うことを極端に気にするようになってしまったのかもしれません。バンコクの街を歩いてごらんなさい。世の中にはどれだけの種類の人種がいて、どれだけ様々な容姿の人間が存在するか、そして、自分が大きな世界の中のほんの一粒の点のような存在であるがゆえに、いかにして意義ある存在になるべく努力しなければならないか、ということに気づくはずです。
 なんちゃって、偉そうに言っちゃいましたよ、今回は・・・てへっ。

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