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<ちあっぷのコラム>

店主が気まぐれに書いているタイについてのコラムです。
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Vol.19「身売りするタイ人女性」

少し前のニュースで、人身売買斡旋の罪でタイ人女性が日本で逮捕されたと報道されました。タイの田舎から連れて来た少女に売春をさせていたというもので、日本のテレビ局が、その少女の実家まで追跡取材に行った様子も放映されていました。少女の妹がインタビューに答えて、「お姉ちゃんはウエイトレスをすると言って出て行きました。お母さんは恋人ができて今は行方不明です・・・」と、淡々と答えていました。日本の騒ぎとはうらはらに、こういうことはタイの貧しい農村ではよくあることで、むしろ日本に出稼ぎに行った娘に建ててもらったと噂の豪邸は、村の中で「日本御殿」などとあだ名をつけられてうらやましがられるぐらいです。
 おこがましい言い方かもしれませんが、豊かな国に住む日本人からすれば、田舎の少女が身売りするなんていう話は、いくら生活のためとは言え文明度が低く、時代錯誤のように感じるかもしれません。しかし、日本の警察がタイ人をとっ捕まえて「身売りせんと真面目に働け」とか「将来のために勉強でもしなさい」とお説教をしたところで、恐らくそれはあまり意味がないようです。日本の方が文明度が高いと言っているのではなく、日本人の常識を世界中に通じさせようと思うと難しいのです。神への無二の信仰を誓って飛行機でビルに突っ込む国民もいれば、60年以上前の戦争をテコでも許せない国民もあり、もっと分かりやすく表現すれば、腰巻一枚で生活するのが恥ずかしいと思わない国民や、成人の証として全身を刺青だらけにする国民だっています。外交問題として日本に対して直接的な利害でも発生しない限りは「その考え方はおかしい」とか「そんなことは野蛮だ」などと、他国民の常識をくつがえすことに躍起になるのはおせっかいな話です。
 タイ人というのは互いに助け合いの精神を重んじる農耕民族で、コラムVol.8「タイ人の宗教観」でもお話したように、他人を助けることは信仰上の信念でもあります。特に、経済的にも教育的にも発展途上の田舎の人たちの考え方では、ともすればそれは手段を選ばず、「親に楽をさせる」「姉妹を学校に通わせる」「病気の祖父母においしいものを食べさせる」ことができるのならば、売春や犯罪もいとわないという発想になる人も少なくありません。バンコクにはたくさんの風俗店があり、そこで働く女性は100%田舎からの出稼ぎ娘です。貧しさで悲観的に身売りをしているわけではなく、田舎に大金を送金すれば一躍、村の有名人になれるばかりか、自分もバンコクで西洋人や日本人の男性と知り合える可能性もあり、幸運ならば彼らと結婚してさらに大金を手にして、ますます田舎にお金を送ることができるとあり、夢が広がります。
 身売りをするのは、主に色白で美しいといわれる北部のチェンマイ県やチェンライ県の女性です。東北部のウボン県やロイエット県の女性は、バンコクに出ても地道にウエイトレスやメイドとして働くことが多いので、日本人は「タイ東北部の女性は道徳観念が強く、真面目で感心だ」と評価することが多い一方で、実際、その地方出身のメイドさんに話を聞いたことがありますが、東北女性は鼻ペチャで色黒、硬いものばかり食べるので顔はホームベースのような容姿が一般的なため、自分たちは売春をしたくても雇い手がいない、と嘆いていました。実際は、大金を手にできる風俗店での仕事がうらやましく、なかなか親に楽をさせてあげられない自分の稼ぎに歯がゆい思いをしているようです。
 世界には様々な常識や考え方、そして生き方があります。身売りするタイ人女性に、憤慨したり、同情したりしても始まりません。店主はバンコクに住んでいた時に観察していて感じたことですが、性格的に「正義感が強すぎる人」「おせっかいな人」「柔軟性に欠ける人」などなどは、外国暮らしや外国人と付き合うことにストレスを感じるようです。

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