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<ちあっぷのコラム>

店主が気まぐれに書いているタイについてのコラムです。
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Vol.20「タイ人魂を揺さぶるメロディ」

 そう、タイ人魂を揺さぶるメロディ、それは「ルーク・トゥン(タイの演歌)」です。流行の歌謡曲を歌うアイドル歌手は、大体が10代の欧米系ハーフと相場が決まっていますが、ルーク・トゥン歌手のほとんどは貧しい東北地方の村の歌合戦などを勝ち抜いてバンコクまで上京して来た、色黒のコテコテタイ人です。タイ国は、人口の4分の3が東北部や北部の土着のタイ人で構成されているので、このルーク・トゥンは絶大な人気を誇ります。駐車場の警備員の詰め所から聞こえるラジオもルーク・トゥン、レストラン裏の従業員の休憩所で流されるテープもルーク・トゥン、皆の望郷の念を掻き立てます。
 深夜になると、カラオケのビデオのようなルーク・トゥン専門歌番組がオールナイトで放映されます。日本ではあまりTVを見なかった店主も、独り暮らしの寂しさを紛らすために一晩中TVをつけて寝ていましたが、何気につけっ放しのルーク・トゥン番組…これにはハマりました!ルーク・トゥンには、近頃はアップテンポの軽快な曲もありますが、店主のお気に入りは昔ながらの悲哀ものです(日本の演歌で言えば、「きよしのズンドコ節」と「津軽海峡冬景色」の違いみたいなものです)。
 タイ人の心を歌い上げるルーク・トゥン、例えばこんな感じ…歌の舞台は、とあるビジネスホテル。そこで清掃係として働く若い恋人同士。最初はラブラブの2人、ところがある日、客室の一室で男性と親しげに話している彼女を目撃!そこで怒りに震える男のどアップと共にサビは…♪あぁ〜俺はホテルを燃やしてやりたい〜俺の愛しい人を奪ったこのホテル〜♪…(ここでメラメラと燃え盛るホテルを背景に間奏)女:「あなた何てことを!」男:「ええい!全部燃やしてやる!」女:「バカ!あれは田舎から出てきたお兄ちゃんよ!」男:「ええ!?」…ラストは、刑期を終えて出所した男と抱き合う彼女、幸せを再び取り戻す2人でした。。。オイオイっ!(←店主のツッコミ)こんな嫉妬深い男とヨリ戻すんかいっ!タイ人心を歌うルーク・トゥンは、タイ人気質を知るのに大変いい勉強になります。
 田舎の貧しい人が歌うルーク・トゥンには、こういうのもよくあります。街で偶然すれ違った女性。「財布を落としましたよ」と声をかけてふと見ると、おぉ何て美しい。思わず後をつけ彼女の勤める店を知る…。その日から毎日、店の外から彼女を見守る日々。そこでサビは…♪けれど〜ボクはしがないセブンイレブンの店員〜、高嶺の花には手が届かないセブンイレブンの店員〜♪…給料を貯めてやっと買った金のネックレスを、彼女の店に届けに行った彼が見たのは、ベンツに乗った白いスーツの男!赤いバラの花束を差し出し、スーツ男:「これ、君のために」女:「まぁステキ」セブンイレブン男:「…」。ラストはサビの繰り返し♪あぁ〜セブンイレブンの店員〜、夢は遠いセブンイレブン〜♪…いやー、ここまでセブンイレブンを連呼した日にゃぁセブンイレブンはいい宣伝になりますが、真面目に働く全国の従業員の皆さんはかなりブルーになるのでは???と思ってしまいます。しかし、貧富の差が激しいタイでは、こいういことも普通に演歌のネタになってしまうのですねぇ。
 タイ人魂を歌い上げるルーク・トゥン、毎晩この番組を見ながら眠りについていた店主は、情緒溢れるメロディになぜか日本が恋しくなる時もありました。そして、日本に帰った今は、階下のメイドさんの休憩所からラジオのルーク・トゥンが聞こえていた、あの独り暮らしのアパートが無性に懐かしくなる時もあります。

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