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Vol.32「私たちは王様を愛しています!」
9月11日から1週間、新商品の仕入れのためにバンコクに行ってきました。お店を始めて2年8ヶ月になりますが、9回目の仕入れ出張です。バンコクというところは何度行っても、毎回新しい驚きと刺激を与え続けてくれる街ですが、今回は空港に着くや否やそりゃぁ、もう、どえりゃぁたまげました。どこを見ても、黄色&黄色&黄色、そして黄色・・・。みんな黄色いシャツを着ているのです。空港の入国管理官から始まって、ゲートで旅行者を待ち構えるガイド、タクシーの運転手、道を往来する人々・・・。実はこれ、王室が売り出した「王室の紋章入りポロシャツ」なんです。黄色はタイ王室の色です。タイで厚く信仰されている仏教では、黄色は涅槃の境地へ導く「不滅」の色だと言われていますがそれと関係あるのでしょうかね。しかしながら、これを着用しているタイ人の皆さんは、そんな講釈なんざぁさておいて「とにかく愛するプミポン国王様が売り出したシャツなんだから、これは絶対着なきゃタイ人としての沽券(こけん)に関わるぜっ!」とばかり、発売当初から競うように買いあさり、今ではニセモノ、類似品、ありとあらゆる黄色ルックが大流行です。店主がバンコクに着いた日も、よくよく観察してみると、黄色のアロハシャツとか黄色のフリフリブラウスなど、関係ない衣類を着用している人も大勢います。日本でも「タイで王室シャツが大流行」のニュースは既に聞いていましたが、まさかこれほどだとは思いませんでした。ところが、翌日になると、アレ?昨日より黄色が減ってる・・・!なぜか街の中の黄色が3分の1ぐらいに(それでもかなり多い)に減っていました。その訳は、店主がバンコクに到着した9月11日は月曜日で、王様がお生まれになった曜日だったからです。日本人が血液型にこだわるように、タイ人というのは生まれた日の曜日にこだわります。
とにかく、タイという国は全国民が「王様・命!」で、それを非難しようものなら不敬罪で即逮捕です。店主が帰国した2日後にクーデターが起こりましたが、あれも王様が「クーデターもいいでしょう」とおっしゃったので、陸軍が大張り切りで戦車を出動し、国民はバラの花を持って戦車と記念撮影しているというわけです。これまで、黄色のポロシャツ以外にも「王女様のイラスト入り紫色のTシャツ」「王様の飼い犬トンデン様の写真集」「王宮で飼われている牛の乳の飴」など、いろいろな王室グッズが発売されており、バンコク市内に何箇所かある王室直営店に行けば、全ての商品を購入することができます。ちなみに今回、黄色のポロシャツの他にも異常に目にしたのが「ラオ・ラック・ナイルアン(私たちは王様を愛しています)!」のスローガン入りグッズ。このスローガン入りのステッカー、バンダナ、うちわ、風船・・・ありとあらゆる「愛してますグッズ」が市場や屋台などで売られていました。色はもちろん黄色です。ポロシャツ特需に便乗していろいろなものが作られ売れているのですね。
以前店主がバンコクで暮らしていた時に安心して生活できたのも、王様が「外国人は温かく迎え入れましょう」とおっしゃって以来、外国人の滞在ビザが比較的容易に取得できるようになったからです。プミポン国王は、貧しい田舎の開発のために自ら足を運んで陣頭指揮しておられるなど、外国人の目から見ても実際に大変立派な方です。店主がバンコク滞在中に気をつけていることが2点あります。一つは、商品を古新聞で梱包する時に王様の写真入りのページは絶対に使わないこと(=タイ人に見つかると怒られます)。もう一つは、朝8時と夕方6時の国歌が流れる時間に外出していれば、周りのタイ人にならって直立不動姿勢を取ることです。これは強制ではありませんが、タイで仕事をさせてもらえることに対する店主の感謝の気持ちです。今回の仕入れの時にも卸売市場で6時を迎えました。5時59分45秒頃に、黄色のポロシャツのおじいさんが、突如笛を吹き鳴らし叫びました。「ピッーーー!国歌斉唱ぉーーー!」このおじいさんは、民生委員みたいな役職についている人かもしれませんが、ボランティアで自発的にやっているとしても疑問はありません。笛を合図に、老若男女、茶髪もピアスも刺青もヘソ出しも悪ガキも露天商も、全歩行者が直立不動姿勢を取っている中、買い物袋を両手に下げてイソイソと歩く一団がありました。どう見ても外国人観光客ですが、おじいさんは直立不動姿勢で「それでもタイ人かーーーっ!」とブチ切れていました。でも、そんなおじいさんの言葉が聞き取れるはずもなく、直立不動の群集の間をすたすたと歩き去ってゆくその一団の様子が印象的でした。
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